卒業制作の映像作品です。イラストから作詞作曲まで行いました。ボーカル生成のみ外注しています。
URL
https://461misora.wixsite.com/website/
担当
イラスト・ムービー・ミュージック
制作期間
2020年6月~12月
映像の目的
映像と音楽による心象風景と世界観の追体験
ターゲット
90年代から10年代までの平成を過ごした人、若年層
作品解説
[背景と意図]
自分の中にある限定的な世界を作品として表現し、儚いものを恒久的に残したいという想いがありました。その中でも卒業制作は社会に出る前に考えていたこと、興味をもったものを一つの記録として作品という形で表し、人生の通過点の指標・形跡と位置付けていました。世界観を万人がなんの障壁もなく追体験するために物語の中からできる限り、性別、容姿といった第三者的な要素を取り除く描写を心がけました。展示空間は現代の若年層が過ごしてきた 2,30 年の空間を再現しています。過去の電子機器や学習道具を用いて、普遍的でどこか共通点のあるような部屋の表現をしました。個人と社会は不可逆的に変化し続け時代は変わっていきます。光と音で燦然と輝く過去の心象世界を通して、不可視の未来へ想いを馳せます。楽曲名「人生ヲ定義スル」
1 年間「臨場感を持って体感的体験的に表現を伝える」ためにはどうすればいいのかということを模索してきました。美術は視覚芸術であるが音や空間を活用することでより高次の表現に展開することができます。美術に造詣のある人無い人誰もが鑑賞できる作品を目指しました。技術ではなく表現の分野から研究テーマに迫れるようアニメーションの動きやレイアウト、音響、展示空間などを意識して制作しました。内容としては現代の若年層が生きてきた年代、平成時代の文化や社会から日々考えていたことを形にしました。過去の膨大な記憶や表現したいことを一つの作品としてまとめることや音楽と融合させることが難しかったのですがスケジュールを考えつつ着実に制作を行いました。思考や内面を客観的に観察して、効果的に具現化する過程を学びました。
最初~音楽機器の操作まで
黄昏に染まり始めたどこかの街で16時に電車に乗っている学生 。音楽機器を操作し選曲をしている。
[前奏]
楽曲とともに景色が流れ、学生は学校に到着し物語が始まります。
[1番]
燦然と照らす夕陽のイメージが強く表現されているパート、過去を学校の映像とともに振り返り郷愁的な想いを表現しています。90年代、00年代、10年代前半の学校生活のイメージ。テーマは「過去」
[2番]
多くの電子機器が登場。インターネットやスマートフォン、SNSが発達し誰もがその恩恵を受けられる現代パート。多くの情報が交錯している中で純然たる事実に焦点を当てこの現況を観察者として表現します。強烈な皮肉にとられる可能性もありますが批判しているわけではないので主観的な表現は抑え客観的な事実を述べます。放たれる言の塵は批判非難だけではなく、人の手から生みだされインターネットの世界に埋もれていく言葉全てを含んでいます。10年代後半の世界をイメージ。テーマは「現在」
[間奏]
曲調が穏やかになり一旦落ち着きます。再び過去を追憶し根底にある創作・表現への想いを謳います。絵画などの視覚芸術は空間を占拠することで空間芸術として存在し、時間をある程度超越することができます。時間や空間を超えて本人がいなくても作品を通して伝えることができる媒体を作り出せることを肯定し、アナログだけではなくデジタルやインタ ーネットとも関連づけます。
[大サビ]
この音楽の意味・価値に言及し明確なメッセージを伝えるというよりは刹那的な思想を書き記した記録として表現されていることを謳い、それを生み出した世界・時間の儚さを描写します。卒業をイメージした歌詞とともに学生時代を人生の一つの区分として捉え、過ぎ去る時間の中で未来に思いを馳せます。テーマは「未来」
[最後]
長く演奏されてきた楽曲が終わったにもかかわらず音楽機器の時間は16時を指します。心象風景や世界観・想いが一瞬のように儚いことを強調し物語は終わります。曖昧な終わり方は個人に想像の余地を残します。
[音楽]
物語の中では音楽機器で聴いている設定ですが学生の演奏をイメージして綺麗になりすぎないよう意識しました。また、曲に使ったコード・進行は「6451進行」というものを使用しました。これはひとつのフレーズの中で暗く不安定な音色から明るく安定した音に変化するものです。未来への希望を暗示させるよう作曲を行いました。また、楽曲は机の隣に展示されているキーボードを用いて制作しました。